デザイナーズBLOG
2021.10.14(更新日:2021.10.14)
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デザイナーをしてきて12年。色々なクライアントに向けて、デザイン提案してきました。
制作会社に勤めていたときは、大手広告代理店のクリエイティブと営業に向けて提案をする事が大半でした。
独立してからは、クライアントのジャンルや規模は多岐に渡ります。
数多くの提案数と、幾度とない修羅場をくぐり抜け、経験してきた事を元にこの記事を書いています。
また、デザインを教える機会も多かったので、”初心者がどのような所でつまづくのか”を踏まえて、デザイン力・提案力が身につく方法を解説していきます。
この記事はこんな人にオススメ
『すぐれたアイデアは、予測しがたい意外な出来事を乗り切ることを学んだ人々から生まれる』
(ジョン・ハント「アイデアの技術」)
良いアイデアが出て来ずに悩んでいる方で「自分にはセンスがないから、良いアイデアが出せない」と思っている方がいたら、まずはその考え方を捨ててください。
全てのアイデアは、経験と知識から出てきます。
自分がそれまでに何を見て、何を感じ、何を作ってきたのか。
その集大成とも言えるのが、あなたから出てくるアイデアです。
あなたが生きてきた分だけ、あなたの中にアイデアは蓄積されているはずです。
「アイデアが出て来ない」というのは、それを出力する方法を知らない、もしくは慣れていないだけなのです。
今回はそれを前提として、どうすれば”質の良いアイデア”を生む事ができるのかをお話ししていきます。
いきなり「捨てる」というと、せっかく頑張って出したアイデアなのに!と思う方もいますよね。
ただ、それは本当に提案先(クライアントや上司)にとっても、『良いアイデア』なのでしょうか。
人によって、またはプロジェクトや商品によって、『良いアイデア』とされるものは異なってきます。
自分がとても良い!と思った案でも、そう思っているのは自分だけ、、、といった状況は、割とよくあります。
アーティストのように、自分の価値観を芸術にしていく仕事であれば、これで成り立ちますが、デザインはそうではありません。
企業やサービス、商品などをPRし、その魅力を伝える役割があります。
役割を果たせないデザインは、いくらビジュアルが綺麗で素敵なものでも、『良いデザイン』とは言えません。
取引するクライアントによっては、どのようなイメージや意向を持って依頼しているのか、読みにくい場合があります。
そんな時に「きっとこんな感じだろう!」「この案が絶対いい!」と思い込んで、1案のみもしくは同じような案だけを提案するのは、かなりリスキーです。
担当者の思い描くイメージと全く異なる場合、”意向が伝わりにくいデザイナー”と思われてしまう可能性があります。
また、”デザインの幅が狭い”というイメージがついてしまったり、クライアントのイメージ通りのものが出来上がるまで提案し続けなければならなかったりと、あまり良い方向に進まないでしょう。
自分の頭にあるものを一旦全て出してから、つなぎ合わせていくというのが、ベストな選択ができる近道です。
有名なブレインストーミングという方法でも、できるだけ多くのアイデアを出していき、その中からベストなものを選んでいく手法が使われています。
ブレインストーミングのやり方はこちらを参考にしてみてください。
もし、あなたに制作の仲間がいれば、大人数でやったほうが固定概念にハマることもなく、より多くのアイデアがらベストを導き出せるでしょう。
1人でやる場合でも、自分の中から思わぬアイデアが出てきたり、出したアイデアの組み合わせで良いものが思いついたりと、十分に効果があります。
どんどん書き出していくことによって、自分の中に思わぬ素晴らしいものが眠っているかもしれません。
逆に、少量のアイデアだと、世界が狭くなり、自分のエゴや固定概念が入ってる可能性があります。
言わずと知れた、くまモンは一世を風靡したご当地ゆるキャラとして有名です。
くまモンは、一見単純なデザインのもの作られているキャラクターデザインのようですが、実はデザインにものすごい時間をかけて生み出されています。
顔の1つ1つのパーツを何パターンもの案から厳選されています。ほっぺた赤い丸の大きさすら、ぱっと見ではわからないくらいのものを、いくつも並べ、何人ものデザイナーが話し合いながら、何度も検討されているのです。
考えられる全てをしつこいくらいに比較検討することで、デザインはどんどん洗練したものになっていきます。
くまモンは、iDや中川政七商店のデザインで知られるgood design companyが制作したキャラクターです。代表である水野学さんの本で、アイデアの出し方やデザインの流れについて、紹介されています。
商業デザインであれば、戦略的な理由が組み込まれる事がほとんどです。
いかに見た目が美しくても、その商品や会社の魅力をうまく伝えられていないものは選ばれないでしょう。
的確にクライアントの意図を読み取るデザイナーは、重宝されます。逆に、見た目のビジュアルにばかりこだわり、本質を見失ったデザインを提案したり、ブランドの方向性にそぐわないものを制作したりすることは、あまり望まれません。
”ブランディングから総リニューアルしたい”という案件でしたら、提案内容はゼロベースになるので変わってきますが、そうでなければ、デザインの軸になるものはすでに提示されているはずです。
自分のところに依頼が来た理由や、今からデザインする制作物がどんな理由で存在するのか。
デザインで迷ってしまったときは、一旦スタートラインに戻って、見直す事が大切かもしれません。
クライアントの意にそぐわなかったり、PR商品とのギャップがあったりするのなら、思い切ってアイデアを捨てましょう。
自分の意思を押し通そうとすると、周りが見えなくなってしまったり、本末転倒のデザインが出来上がってしまうこともあります。
どんなにビジュアルが素敵でも、自分好みでも、勇気を持って捨てることで、何にもとらわれず、よりベストな選択をする事ができるでしょう。
良いデザインを生み出すための第一歩は、偏見をもたずに、出来るだけ多くのアイデアを出してみる事です。では、また。